30秒でわかるこの記事のまとめ
- FXは外国のお金で擬似的に貯金して利息をもらう運用
- 外貨預金は完全に外貨に交換、FXは擬似的なので日本円のまま
- 豪ドルと南アフリカランドで運用して見事失敗
これまで目にすることはたくさんありましたが、なんとなく避けていて、そしてじつはその内容もあまり理解していなかったFX。今回FXに初めて挑戦してみて「あーこういうことだったのか!」と気づいたことがありました。FX初心者向けにまとめてみました。
当記事はFX初心者向けの、FXをわかりやすく理解するための記事です。言葉づかいなど一部不正確な可能性があります。
FXの仕組み1:FXは為替の取引
まず最初に理解すべきFXの仕組みは、FXは「為替の取引」ということです。為替の取引って言ってもよくわからないかもしれませんが、よくニュースで流れている円高とか円安とかいうものです。
お金はいつも売り買いされている
普段の生活をしているとあまり感じることはありませんが、世界中でお金自体が売り買いされています。円が欲しいとか、アメリカドルが欲しいとかいう人が、それぞれ売り買いしているんです。わかりやすい例でいうと、ハワイに旅行にいくときに、日本円をアメリカドルに両替しますよね。あれと同じです。両替って、自分と反対の売り買いをしたい人がいてはじめて成立するんですよ。
これが両替です。為替取引はこの両替が世界中で膨大な量されている、と考えてもいいかもしれませんね。
お金が売り買いされる理由
お金が売り買いされる理由は、もちろん海外旅行だけではありません。円やアメリカドルの価値、という考え方があります。その価値は常に変動しています。
たとえば、ぼくが明日から日本の総理大臣になったとしたら、おそらく日本は崩壊します。となると、日本の円の価値もどんどん下がっていきます。崩壊した国のお金に価値はありません。円を持っている人は1日でも早くアメリカドルに両替したいと思うでしょう。
これは極端な例ですが、そういう国のお金の価値に影響することが毎日世界中の国で繰り返されているんです。そして今度はそれを予測して売り買いする人も出てきている、それが「為替の取引」です。
FXの仕組み2:FXは金利の差を利用した貯金
FXでは、いろんな事情でお金の売り買いがされているものだ、というとこまで理解ができました。でもFXの理解としてはまだまだです。次に理解しないといけないのは、FXは金利の差を利用して海外に貯金している、ということです。
金利ってなに?金利は国によって違うんです。
FXの大事な考え方に、金利があります。金利っていうとちょっと難しいのですが利息のことです。銀行にお金を預けていると利息がつきます。いま日本の銀行の利息は、年利0.001%程度でしょうか。三菱東京UFJ銀行の普通預金の金利はこちら。
100,000円預けていると、1年後に1円利息がもらえます(笑)。でもこの笑い話のようなことが実は大事なんです。この金利、アメリカの銀行に預けているとどれくらいかご存知ですか?1.0%です。100,000円預けていると1年後に1,000円もらえます。日本の銀行だと1円、アメリカの銀行だと1,000円ですよ!アメリカの銀行に預けたくなりませんか?
これがFXの特徴なんです。アメリカの銀行口座をもっていなくてもアメリカに貯金をしていることにしてくれるのがFXです。アメリカに100,000円貯金していると1年後に1,000円もらえましたよね?日本の銀行に貯金していたら1円です。FXをしているとその差額の999円をもらえるんです。これをスワップポイントといいます。ポイントと言っていますがお金です。
いろんな国のお金を気軽に買える(気軽に海外の銀行に貯金できる)
もちろん海外貯金ができるのがアメリカだけではありません。人気どころでは、オーストラリアドルとかもあります。南アフリカのランドも人気です。人気の理由はランドの金利。なんと6.0%!100,000円あずけたら1年後に6,000円ももらえるんです!
FXの仕組み3:レバレッジ
ここまででFXの基本的な理解は大丈夫です。いろんな事情で常にお金の価値が変動していて、そのお金を売り買いしている人たちがいる。そしてお金の売り買いだけじゃなくて、そのまま海外口座に貯金できて、国によっては利息をたくさんもらえる(スワップポイント)、それがFXの基本です。
でももう一つFXの大きな特徴があります。それが「レバレッジ」です。「レバレッジ」という考え方はすこし難しいのですが、簡単に言うと、あまりお金を持っていなくても、たくさんお金をもっているような運用ができる、という機能です。
大きなお金を動かすとたくさん儲かる、それがレバレッジ
どうして自分がもっているお金以上のお金で運用したい人がいるかというと、大きなお金のほうが大きく儲けられるからです。さきほどの例だと、100,000円をアメリカの銀行に預けたら1,000円もらえましたよね。これ1,000,000円持っていたら10,000円もらえるんです。10倍のお金を持っていたら当たり前ですが、1年後にもらえるお金が10倍になるんです。
FXはレバレッジを指定できる(個人は最大25倍)
FXはそんなレバレッジを自由に設定できます。簡単に言うと10,000円しか持っていない人がレバレッジ10倍を指定すると、100,000円を運用できることになります。アメリカの銀行に貯金するとしたら、1年後に1,000円でしたよね。実際には10,000円しか運用していないのに、数字上は100,000円の運用になって、利息を1,000円もらえるんです。これがFXの魅力です。
レバレッジは1倍から25倍まで自由に設定できます。レバレッジを大きくすればするほど、大きく儲かる可能性と同時に大きく損する可能性もあります。大きく損してしまう見込みになった場合は、強制的に取引を解消されてしまう「ロスカット」というものがあります。(「これ以上マイナスが大きくなったら大変ですから、取引を中止します」という自動救済機能(?)です。)
FX用語:スプレッド
最後に仕組みではないのですが、FXで出てくる言葉に「スプレッド」というものがあります。これは簡単に言うと両替手数料です。この手数料はほぼ安定していますが、状況によって変動することもあります。
FXは一粒で三度美味しい??
あくまでもうまく行けばの想定ですが、FXは「一粒で三度美味しい」可能性があります。1ドル100円で100,000円分購入したとします。その一年後・・・
- 1ドルが110円になっていたら、110,000円に(+10,000円)
- 米ドルのスワップポイント(利息)で、1,000円(+1,000円)
とたった1年で11,000円も儲かる計算になります。しかもレバレッジを5倍にしていたら、すべてが5倍になるので、たった1年間で55,000円儲かる計算になります。100,000円の投資で1年後に55,000円儲かる。これがFXの全貌です。
FXと外貨預金の違い。外貨預金もFXも同じ為替取引
同じ外貨の投資なら外貨預金もあるけど、外貨預金とFXではなにが違うの?という疑問が出てきます。
外貨預金もFXも、日本円と外貨(ここでは分かりやすいように米ドル)を交換する取引です。これを為替取引といいます。為替取引ということは、為替相場の影響をうけます。為替相場というのは、1ドル100円とか1ドル110円というあれです。この相場は毎日変動します。
1ドル100円のときにドルを買ったあと、1ドル110円になったら儲かる
相場の影響を簡単に説明しますね。まず1ドル100円から1ドル110円になったとします(円安)。
- 1ドル100円のときに、100ドル購入:支払い金額10,000円(100円×100ドル)
- 1ドル110円に相場が変動
- 持っていたドルを円に交換(ドル売り)すると、もらえるお金は11,000円(110円×100ドル)
- 1,000円儲かる
1ドル100円のときにドルを買ったあと、1ドル90円になったら損する
では反対に1ドル90円になったらどうでしょうか(円高)?
- 1ドル100円のときに、100ドル購入:支払い金額10,000円(100円×100ドル)
- 1ドル90円に相場が変動
- 持っていたドルを円に交換(ドル売り)すると、もらえるお金は9,000円(90円×100ドル)
- 1,000円損する
外貨預金とFXでは交換手数料の差がある
外貨預金もFXも為替取引というのは同じでした。ここから少し違いがでてきます。まず違うのは「交換手数料」です。円をドルに、ドルを円に交換するときの両替手数料のようなものです。これをFXではスプレッドと言います。たとえばスプレッド0.5銭といえば、「FXの取引で1ドルにつき0.5銭を手数料としていただきます」という意味です。
正確にいうと、手数料とスプレッドは違います。原則としてFXでは「手数料+スプレッド」の2つが手数料となります。ただほとんどのFX事業者では「手数料0円」となっていることが多く、そのかわりにスプレッドが実質の手数料となっているので、あえてここでは手数料(スプレッド)として考えています。
外貨預金は「片道切符」。FXは「往復切符」。
ひとつ補足が必要ですが、外貨預金とFXはそのもともとの性質に違いがあります。外貨預金は実際にドルを買うので、外貨預金を解約したら購入したドルが残りますが。FXは一時的に交換しているだけなので、FXをやめたら自動的に円になって戻ってきます。これを「差益決済」といいますが、簡単に考えると外貨預金は「片道切符」、FXは「往復切符」ということです。
- 外貨預金:ドルを実際に買う→(解約したら)ドルが残る
- FX:円を一時的にドルにしてるだけ→(解約したら)円に戻る
このように「将来的にドル資産を増やしたい」という方は外貨預金が向いています。FXは為替取引という面では外貨預金とおなじですが、解約すると円資産としてもどってきます。
外貨預金とFXでは手数料に大きな差がある
いよいよ手数料の差です。外貨預金は一般的な大手銀行とネットバンク、そしてFXはFX事業者を例にだしてみます。たとえば三井住友銀行の外貨預金、住信SBI銀行の外貨預金、そしてSBIFXのFX、それぞれの手数料を比較してみた図はこちらです。
取引 | 手数料(スプレッド) | |
三井住友銀行 | 外貨預金 | 1米ドルにつき1円 |
住信SBI銀行 | 外貨預金 | 1米ドルにつき4銭 |
SBIFX | FX | 1米ドルにつき0.27銭 |
まず三井住友銀行の手数料は、1ドルにつき1円。
と思っていると大変なことになります。この手数料がどれだけ高いかはまたのちほど。ちなみに住信SBI銀行では1米ドルにつき4銭、SBIFXでは1米ドルにつき0.27銭と、単純に同じ為替取引でもFXのほうが手数料が安いということが分かります。
手数料の差は繰り返し取引すると大きな差に
この手数料の差は大きな金額の取引、また小さくても何度も取引するとどんどん大きな差になります。
FXは小さな金額を繰り返し取引することがあります。取引回数が多いと手数料もそのたびに必要なのでどんどん手数料が大きくなります。
手数料 | 100ドル取引 | 1,000ドル取引 | 10,000ドル取引 |
1米ドル1円 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
1米ドル0.4銭 | 4円 | 40円 | 400円 |
1米ドル0.27銭 | 2.7円 | 27円 | 270円 |
たとえば100万円の取引をしたときに、10,000円の手数料というはやっぱり大きいです。その点FXだと同じ取引で270円ですからね。かなりお得です。
FXでもレバレッジ1.0倍であれば、ほぼ外貨預金と同じと言えるかもしれませんね。
もし外貨預金に興味がわいたら、FXも検討していいかも。
もし外貨預金に興味がわいたら、FXに挑戦してみるのもいいかもしれませんね。単純に手数料がお得です。ただし、さきほどもお伝えしたとおり、FXの取引は
- 円でドルを買う
- 買ったドルを売って円に戻す
までで完結しますので、最終的にドルは手に入りませんので、そのあたりは要注意です。(一部FX会社に外貨引き出しができるメニューもあるようです。)
購入と売却のデータ
いよいよ運用報告です。今回米ドルと豪ドル、そして南アフリカの通貨ランドを購入しました。初心者らしくレバレッジは2倍。そして運用をはじめて1週間。残念ながら豪ドルとランドの損切りではじめてのFX取引は幕を閉じました。
通貨の購入と売却のデータはこちらです。3つの通貨を1週間運用してトータルで−79円でした。たった−79円!!??と思われるかもしれませんが、とっても反省が多い損切り、取引でした。
米ドル:+80円
豪ドル:-115円
ランド:-44円
運用を失敗した理由と反省
今回のFXははじめてということもありますが、失敗した理由がいくつかあります。
1:高金利ばかり注目してしまい長期の為替の動きを見ていなかった
これはとくにランド通貨で失敗したのですが、ランドの高金利ばかり注目してしまって、ランドと円の長期的な為替の動きに気づきませんでした。
これが円とランドの長期チャートです。ここ数ヶ月のチャートだと見えない動きでしたが、円とランドの関係は長期では「円高」が続いていました。FXは円を基準に考えると「円高」になると損します。逆に「円安」になると儲かります。となると、ランドは長期的には損をする通貨だったんです。
ちょっと難しいですが、ランドの「買い」から取引を始めると「円高」で損がでますが、ランドの「売り」から取引を始めると、逆に円高で儲かる仕組みです。
ちなみに、南アフリカランドの政策金利は6.5%(2018年5月現在)。FX会社によってもらえる金利(「スワップポイント」と言います)がすこし変わりますが、それにしても日本円を預金しておくよりはかなり好条件です。ランドのFX運用ではそこだけを考えてしまったのが失敗でした。
2:利益確定ができなくて損切りタイミングが遅れた
2番目の失敗は、豪ドルです。豪ドルが利益が出ているときに利益を確定できずに、逆にマイナスが出始めてからも「まだいける」「今度は上がるはず」と、どんどんマイナスが大きくなってしまいました。
じつはこのとき、アメリカと中国がお互いに関税をかけあう動きがあって、中国経済がダメージを受けるかも(もちろんアメリカも)という観測が出ていました。オーストラリアは中国が一番の貿易相手なんですね。中国経済がダメージを受けるとオーストラリアの経済もダメージを受ける、という流れがありました。
オーストラリア外務貿易省によると、日本との貿易額は、前期比13%増の686億800万豪ドル(約5兆5800億円)。1位の中国との貿易額は1747億1400万豪ドル、米国とは664億9千万豪ドルだった。(共同通信)
あとオーストラリアと中国の関係が悪化しているという状況も後押しして、「豪ドル手放して円を持っておこう(円高)」という流れが加速したと思われます。
そうなったら一旦豪ドルを手放して相場が落ち着くまで様子を見る、という方法もあったのですが、それができませんでした。
3:FXは普段気にしない値動きでも数字が動く
これはFXをはじめてやってわかったことですが、たとえば円と米ドルの相場が1円動くって、大変な値動きなんですね。FXをやる前は、たとえばニュースで「今日は昨日と比べ1円の円高でした」って言っても「へー」という感じでしたが、いまは「い、い、い、1円!!!!!」という感じです。0.1円の動きで大きな損得がでる。これがFXで、レバレッジなんですね。
情報を取りやすいところで投資するのは大事
今回のFXはもちろん、投資信託の運用でも感じたのですが、
というのが、ぼくのなかでは大事なルールになりつつあります。今回失敗した豪ドルもランドも、普段のニュースで為替の動きを目にすることもなければ、そもそも国の情勢などの情報が少ないです。もちろん普通の人が取れない情報を取りに行くことで大きな利益が出せる、という一面もあると思いますが、投資が本業じゃないと難しいです。そして情報が遅いと決断も遅くなるのでよくないですね。
アメリカ経済、中国経済くらいまでは日本語でも結構情報が取れるので、そのあたりで長期運用をかさねていくのがぼくには向いてそうです。はじめてのFXは損切りという残念な結果になりましたが、やっぱりやってみないとわからないことってありますね。